山田の勝負メシプロジェクト始動!!

YAMADA'S
“SYOUBU-MESHI”
山田の勝負メシ

勝負の決め手は
「見えない攻撃・見えない角度・見えないタイミング」

キックボクシングの技術的な部分でも日々変化しているんですか?

変化していますね。いろいろな競技のミックスというか、コアの部分をいろいろ自分で取り入れられるので面白いですね。それを面白いと思ってくれる人と過ごすとさらにブラッシュアップされていきます。ハングリーにならないと試合に勝てないんですよ。あとは自分より格上の人たちがいる環境で揉まれるほうがいいんですね。

今いるTEPPENジムはそういう環境?

まさにそうですね。マジでハードなんですよ(笑) でもその環境はとても恵まれていることで、自分の中でモチベーションは高まりますし、そのレベルの中で同じようにするためにはどうしたらいいかを考えると自然と気合が入るんですよね。だからとてもいい引き上げをしてもらっていますね。

丹羽 圭介 選手

昔は決まっていたのに、今はもう決まらない技もあるの?

ありますね、昔はアーネスト・ホースト選手の「ワンツー・フック・ローキック」というスタイルも決まっていたけど、今はもう決まらないみたいなところはありますね。対角線の攻撃をするのは美しいし、ちゃんと当たれば効くんですけど、もう動きが読めてしまうからまず当たらないです。「見えない攻撃・見えない角度・見えないタイミング」を自分で作れていないといけない。

ミルコのハイキックも今ではもう当たらない?

あのキックは見えないので効きますね。上半身はそのままで横からキックがくるから、「あれ?」ってなるんですよ。ハイキックを当てられるのにはちゃんとしたロジックがあります。

なるほど、見えない角度というのはそういうことなのか…!「見えない攻撃」、「見えないタイミング」というのはどういうことなんですか?

呼吸や気ですね。力を入れるときは息を吐くからわかるんです。息を吸っているときは力が入らないので、そのタイミングを狙ってうちます。

10年前にキックボクサーで呼吸を読むなんてことをしている人いなかったんじゃない?

武道家の方や空手の師範されてる方とかは、呼吸や気を読む方はいらっ しゃると思います、歴代キックボクサーのトップは意識的か無意識か、察して読んでいるハズです。

以前メイウェザー選手と那須川天心選手の試合は、「制空圏の争い」だというお話しをされていたと思うんですけど、それに近いものがあるということだ!

そうです。あれは見えない戦いですね。あの2人はお互い未来に行っていると思っていて、未来を創り出した上でそれをプレッシャーに変えて、「こう攻撃されたらこう返す」という、2手、3手先を読んで戦っているイメージです。

リングの上で何十発ものパンチを想定して競っているっていうことか!

もうドラゴンボールの世界をリアルに投影して、それを本当に戦っている感じですね。

ボクシングの世界も進化し続けているんですね

今僕の中で世界最強だと思っている、ワシル・ロマチェンコ選手というウクライナのボクサーがいるんですけど、その選手はもう真似できないんですよね。当たって回って、当たって回ってという円の動きで回っていくんですけど、超一流のトップファイターが背後をとられるといのはもう屈辱ですよ。スピードスターと言われる選手が背後をスッととられてやられるわけですよ、超屈辱だと思います。

丹羽 圭介 選手

ボクシングの試合で背後に回られるシーンはあまり見たことないですね。

総合格闘技ならぐるっと背後をとられることはありますけど、ボクシングで背後にまわることはないですね。ロマチェンコ選手の動きは、ダンスの動き方をボクシングに変換して取り入れているんです。ロマチェンコKOというか、当てて殴って効かせて終わるんではなくて、選手とセコンドが「もうやめよう」って諦めさせてタオルを投げるということが多くて、とにかくヤバイんですよ!

丹羽選手も別のスポーツの動きを取り入れているの?

僕は勝つため、進化するためだったら何でもまず自分で試してみて、他の競技や動物の動きなど、良いものは何でも取り入れます。色々あるんですが、その中でも、以前から沖縄拳法空手をやっていて、この空手はすべて の動作を手からはじめるというスタイルのものです。過去にロッタン選手との 試合に沖縄拳法スタイルで臨みました。

ロッタン選手と試合をしたことがあるの!?

タイ人のトップVS各国の代表が出場する「Top king World Series」という中国で開催された大会でロッタン選手と戦う機会があって、そのときに沖縄拳法空手を取り入れました。沖縄拳法空手は低くかまえて、手から動くという動作なんですけど、当たっても効かなかったんです。そのときに「あれ?やべえ効かねえ!」ってなって。逆に向こうは当てれば当てるほど、「うおー!」って興奮しはじめちゃって。「強い」と思う選手は今までにも戦ったことがありますが、「殺される」という選手にはそのときに初めて出会いましたね。

「強い」と「殺される」はどう違うの?

強い選手の場合は、「これは痛いな、この攻撃もらいたくないな」という自分の頭で処理できる感じなんですけど、「やばい、このリングにいたら死ぬかも」という思う感覚はあとにも先にもなく、ロッタン選手だけだと思います。リングは最高の舞台にもなりうるし、最悪の処刑場にもなりうる場所なんですよ。自分の実力やメンタル、心技体すべてがうまく仕上がっている状態で上がると最高の光を浴びることができるんですけど、準備がままならない、仕上がっていないと処刑場に変わるので、勝敗の結果によって雲泥の差ですね。

ロッタン選手との試合の時に、攻撃が当たってるのに倒れない事を受け、沖縄拳法空手の動きを、バンテージとグローブの厚みで効かすための変換をしていく必要があったため、沖縄拳法空手の山城先生や、兄的存在でもある菊野克紀さんと協議しながら、試行錯誤を繰り返して自分の中でアレンジを加えて、やっと最近それを試合で体現できるようになってきました。

丹羽 圭介 選手

ということは、今が一番完成系に近い?

そうですね。今どんな攻撃をしても倒せるイメージが湧きます。メイウェザー選手と那須川天心選手の試合もそうですが、「見えない攻撃、見えない角度、見えないタイミング」を実践している試合では、相手の攻撃を読なければならないので精神的に疲れますよね。

うちの会社もよく何するかわからないって言われているから、競争相手は疲れているかもしれないな(笑)

でもそれはいいことですよね、前例がないことだから。見えないところから来るパンチが一番効きますから。格闘技もビジネスもそうなんじゃないですかね。 見えるタイミングの攻撃だと、グッと力を入れて踏ん張れるからいいんですけど、踏ん張っていない状態で攻撃を受けると脳や急所にズドンときます。

ボクシングの場合、どういう勝ち方が理想的なの?

それはもちろんKOですね。判定の場合は、勝っても負けても「ああすればよかった、こうすればよかった」って言われるんですよ。でもKOの場合はそれがほとんどない。言われるとすれば、「もうちょっと見たかったな」っていうもので、それは嬉しい意見ですよね。殴り合いをする方が、誰が見てもわかりやすくて美しいじゃないですか。プロが見ると面白い戦い方というのもあるんですけど、やっぱりたくさんの人に理解してもらえることがスターですよね。理解されないと意味がないので。

丹羽選手は効かせるときはストレート?左右差や癖があってはいけないよね?

そうですね、右も左もどの角度でも強い攻撃をできますよ。だからどこから攻撃が飛んできても、どこに当たっても痛いというのがベストで、ボディ・ミゾオチを効かせられれば、他のパーツにちょっと攻撃が当たっだけでもダメージが大きいんですよ。

まさに内臓!

そうなんですよ、内臓を効かせることができればあとはなんでも効きます。内臓に攻撃を受けると重たくなるんですよ、そうなると呼吸も荒くなって、息ができなくなってくると、ダメージは蓄積していくものなので、どこでも痛い。

やっぱり時代は、内臓なんやなあ!

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