山田の勝負メシプロジェクト始動!!

YAMADA'S
“SYOUBU-MESHI”
山田の勝負メシ

「前へ」という言葉を次世代に繋ぐ、田中監督流の育成術

田中監督が現役の頃に比べて、今の選手たちはどんな風に見えますか?

今の選手は良くも悪くも「いい子」が多いですね。僕たちの世代は失敗をたくさんして学んで成長してきたんですけど、今の子たちは失敗しないようにいろいろと準備された環境の中で生きている。自分でリスクをおって決断するということが難しいのかもしれないですね。
だから彼らが自信を持てるように、「やってみろ!」と少しだけ後押しするのが僕の役目です。それが成功したときの成長率は、僕たちの頃よりも高いと思いますね。今の子たちの方が、前向きに進む力はあるんじゃないかな。そのためのきっかけが彼らには一番必要なんだと思います。

田中澄憲 監督

明治大学のキャプテンのイメージって、老舗ののれんを継承する後継みたいに感じていて。みんなキャプテンになるときは、「俺が頑張らなきゃ!」みたいな部分はやはり感じているんでしょうか?

それは強く感じていると思います。でも昔と今は違うと思っていて、昔はキャプテンが「俺についてこい!」という感じでしたが、今のキャプテンは「俺についてこい!」だけでは通用しないと思います。だから今のキャプテンの方が大変ですよね。仲間のいろんな感情に気がつけて、そこに対して臨機応変に気を配れるリーダーじゃないといけない。インターネットで何かネガティブなことを書かれたりもするので、本当に大変ですよね。

選手たちのミスのフォローやモチベーションのアップなどはどうされているんですか?うちの会社にも若手の社員がいるので、ぜひ教えていただきたいです。

ミスの質で叱る、叱らないを決めています。ミスはしてもいいと選手たちには伝えています。それがチャレンジをしたミスだったらしてもいいと思っています。それが練習に集中していないとか、身が入っていないときのミスは、ケガにも繋がるし、何も得るものがないので叱ります。チャレンジしたときにするミスは、次はこうしようと考えることもしますし、得るものもあると思うので、ミスの質には気をつけていますね。

選手によっても叱り方は違うんですか?

選手によって違いますね。でも特別扱いは絶対にしません。やってはいけないことをしたときは、みんな同じ基準で叱ります。クラブとしての基準やルールは紙に書くものではなくて、みんながしっかりと理解するべきだと思っています。

田中監督が現役の頃に比べて、選手と監督の距離感って違いますか?

まったく違うと思います。昔の監督は多くを語らずに時々口を開くような雲の上の存在でしたけど、今そのスタイルでいると選手たちが萎縮してしまいますね。だからこちらから、「最近どうだ?」「ケガは治ったか?」とコミュニケーションを取るように心がけています。一人ひとりに目を配らないといけない。
最近企業でも1on1ミーティングを導入しているところも増えていますけど、その人に合わせたケアが必要なんだと思います。レギュラーを外れてしまうと、ガクッと落ち込んでします選手もいるので、きちんとなぜ外れてしまったのかということを説明しています。

僕はたまに部下に対して、言いすぎてしまったなと思うこともあるんですが、田中監督も選手に対して怒りすぎてしまったなと思うこともあります?

普段はあまりそういうことはないですが、グラウンドで練習をしているときに大きな事故につながるようなときは、しっかりと叱ることもあります。
叱りっぱなしだと心を閉ざしてしまう子もいるので、そのあとに「なぜあんな風に注意をしたかわかるか?」と言ってフォローをするようにしています。

対談風景

僕たちが大学を卒業したての若いころ、親父である社長が社員にメシを作って一緒に酒を飲みながら、説教されていたんですよ。田中監督のおはなしを伺いながら、当時を思い出しました。
最近はおかげさまで会社の業績も上がってきましたが、「山田水産とは何か」という部分が薄くなってきているような気がしていて。今日田中監督がおっしゃっていた「明治大学とは何か、明治大学のラグビーとは何か」というような本質的な部分の大切さを再認識しました。

僕の場合はサントリーという会社に所属していたのが大きかったですね。サントリーもアメリカの企業を買収してグローバルな企業になって規模が拡大した時に、優秀な人材がたくさん入社してきて、「サントリー」というアイデンティティが薄くなくなってしまうのではないかと危惧する時期がありました。そこで佐治会長が「サントリーとはなにか」という本質的な部分をしっかりと見直さないといけないと声をあげて、「サントリー大学」を立ち上げて、役員が全国を回って、創業者の想いやサントリーの歴史を語る「サントリー講話」という活動をはじめました。僕はそういうことが大切だと思っているんですよ。明治大学の場合は、すごくシンプルですけど、それが「前へ」という言葉なんです。

その「前へ」という言葉がシンプルだからこそ、その意味の解釈が広義に渡りますよね?

そうですね。「前へ」というと、ボールを持ったら躊躇せずに前へ進むことを意味しますよね。それがステップなんか踏まずにとにかく進むということを「前へ」と理解する人もいます。
僕は違った解釈をしていて、プレイスタイルは関係なくて、生き方そのものだと思っています。正々堂々と生きるとか、困難から逃げずにベストを尽くし乗り越えるといったこと精神が「前へ」の意味だと。こういうはなしを選手に対してあまりしませんが、必要な時期が来れば話をします。

それはとても大事なことですよね。しかし明治大学とサントリーは本質的に近い部分があるんじゃないですか?

「前へ」と「やってみなはれ」ですからね。

対談風景

山田水産も「前へ」にすごく感銘を受けておりまして、45周年の記念ポスターには…

「Go Forward」じゃないですか!(笑)これがスローガンになっていれば、みんな明治大学の卒業生だと思いますよ(笑)

いろいろと考えたんですけど、山田水産もやっぱり前にでるしかないと思っていて、この言葉を選びました。

本当に明治大学ラグビー部を愛してくださっているんですね(笑)

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「勝負メシ」うなぎを食べて、
目指せ、大学選手権2連覇!

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